会誌No.63発行される! [連絡 / General Information]
会誌No.63発行されました!
今年度の第1号となる会誌No.63が発行されました。今号も盛りだくさんの内容で、どの論文を紹介しようか迷ってしまいます。
とはいえ、まずはトップを飾ったミャンマーから発見された驚愕の新属・新種のゼフィルス記載論文を紹介しないわけにはいきません。
Hasegawa, T and Saito, K. Description of a new genus and a new species of the subtribe Theclina (Lycaenidae) from Myanmar
ミャンマーからは去年、驚くべき新属新種が発見・記載され、昨年暮れの当学会大会で発表されたことは記憶に新しいところと思います。(紹介記事はこちらから)
そのミャンマーで今を遡ること17年前に1頭の不思議な模様をしたゼフィルスが採集されていました。採集したのはインドシナ地域で広く調査をしているタイ在住の研究者。その標本は長らく発表される機会もなく眠っていたようです。ゼフィルス研究の俊英・長谷川大氏と、インドシナ地区の蝶相に造詣の深い斉藤光太郎の両氏は、この標本を詳しく検討した結果、新属新種として今回記載しました。誰が見ても新種としかいいようの無いその斑紋、ミャンマーの奥深さをまざまざと思い知らされました。この新属新種はミズイロオナガシジミ属(Antigius)とウラミスジシジミ属(Wagimo)に近縁であると判断され、Neoantigius sukkitiと命名されました。
本種の原色図版はブログには掲載しません(出し惜しみ)ので、興味のある方はぜひ本誌を手に取ってご覧ください。
▲今回、記載された新属新種に近縁な種のプレート
続いて重要な論文は、
Nakamura, N and Wakahara, H. Notes on the butterflies of Laos (VIII): review of the genus Kallima Doubleday, [1849] (Lepidoptera, Nymphalidae) with descriptions of two new subspecies
▲コノハチョウの再検討
ラオスの蝶相を長年研究されている中村紀雄、若原弘之の両氏はラオスで得られたコノハチョウ(Kallima)にいくつかの異なったタイプが含まれていることに気づきました。そこでこれまでに記載された亜種などを含めて詳細に検討した結果、日本にも産するいわゆる“コノハチョウ”(Kallima inachus)と近縁種Kallima limborgiiの2種が混じっていることが判明し、さらに各種で明瞭に亜種として認められる個体群を新亜種として記載、整理しました。コノハチョウの分類は従来から混乱している面があったため、今回、整理されたことで今後の研究も進むものと大いに期待されます。中村氏はネパールから日本に至る広大な地域で得られるコノハチョウ属を通覧して整理するという発展的な取り組みに着手されておられ、今後の研究成果が期待されます。得難い地域のコノハチョウをお持ちの方はぜひ協力して下さい。
さて、力作の論文で少し疲れた時には、気軽に読める採集記はどうでしょう。日本の誇る採集家、上原二郎氏は今号で南米ベネズエラの採集紀行を寄せてくれました。これでもか、と原色で図示された新熱帯区の極彩色の蝶たちは、読者をしばし南米のジャングルに誘ってくれるに違いありません。
▲ベネズエラ採集記
というわけで、今号も見逃せない内容であることがお分かりいただけたと思います。目次も紹介しておきます。下の画像を拡大してご覧下さい。
▲目次(クリックして拡大してご覧ください)
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いつ読むの? 今でしょ!
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2013-05-11 12:00
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