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【動画】ミャンマー西部調査行 [旅行記/採集記 / Travels]



【動画】ミャンマー西部調査行

MyanmarChin.png
▲ミャンマー・チン州位置図(Wikipediaより)

 日本蝶界の重鎮の一人で、長らくミャンマーの調査を継続されている巨匠S氏より、貴重なミャンマー西部の映像を提供していただいたので、公開することにした。
 巨匠S氏が訪れたのは、ミャンマー西部・チン州の南部である。チン州はインド国境に接した山岳地帯で、かつて太平洋戦争ではインパール作戦の舞台ともなった場所である。当地の蝶相については戦前の英領時代にこの地に駐屯したWatsonなどによる、ごく僅かの断片的な研究しか知られていない。
 巨匠S氏はこの地に幾度も訪問し、驚くべきゼフィルスの新属新種など数多くの興味深い発見をしてきている。このほど巨匠S氏は単独でこの地を訪れた。残念ながら雨季の最中で道路事情も極めて悪く、蝶影も薄かったという。詳しくは正式な報告を待ちたいが、ひとまずブログ読者に、なかなか訪問の難しいチン州の調査行の模様を紹介したい。



Movie File: Expedition to W. Myanmar

MyanmarChin.png
▲Location of Chin state, western Myanmar (after Wikipedia)

Mr. S who is one of the leading figures in our society provided us very precious video. He has been earnestly studying the butterfly fauna of Myanmar for more than 15 years. Last June he visited Chin state, western Myanmar. Chin state is located in the border area just next to India. Most of the state is occupied with mountains called Chin Hill. Chin state is also famous as the battle field during WWII. The record of butterfly fauna in this area is quite scarce, only some old literatures such as Watson (Brithsh Army and posted in this area during the service) are available.

Recently Mr. S has visited there several times and achieved many interesting findings. Among them, the discovery of a striking new Genus of Zephyrus Hairstreak (Genus Shizuyaozephyrus) is notable. Unfortunately this visit was not so much successful because of the heavy rain and bad road condition. In this video some common butterflies are fimed. The details should be reported by Mr. S himself in the future.

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ゼフィルス飼育報告その2 / Rearing The Zephyrus Hairstreaks (Part 2) [旅行記/採集記 / Travels]

ゼフィルス飼育報告その2

先日の採卵講習会に参加した若者から、持ち帰ったゼフィルス類の飼育状況の続報が届いたので以下、紹介したい。こちらの第一報も併せてご覧ください。

【FM君からの報告その2】
 1卵しかなかったカラスシジミ、無事に羽化しました! ヤマザクラの枝に1卵産卵されていたのを見つけて持ち帰りました。無事に孵化したのち、幼虫にはソメイヨシノをあたえていました。最初はこげ茶~黒色体色でしたが、成長するに従って徐々に緑色に変化していき、中心に白いラインが入りました。体表は少々固めの毛がまばらに生えていました。しかし、前蛹時には再び茶色になり、蛹も茶色でした。


カラスシジミは通常ハルニレなどニレ科が主要な食樹となっているが、今回の採卵講習会ではニレの見当たらない林のヤマザクラから2卵が得られた。無事に羽化にこぎつけられて素晴らしい。興味深い記録なので会誌に発表してもらおうと思っている。

Fixsenia w-album.jpg
▲羽化した成虫 / Fixsenia w-album, an adult butterfly emerged

Egg of F. w-album.jpg
▲ヤマザクラ小枝上の卵 / An egg found on the twig of Prunus jamasakura

second instar lava of F. w-album.jpg
▲若齢幼虫 / A young larva

larva of Fixsenia w-album.jpg
▲終齢幼虫 / Final instar larva

Rearing The Zephyrus Hairstreaks (Part 2)

Continued to the field research conducted by our society last March and the first report on rearing the Zephyrus Hairstreaks and its allies, today's article introduces the report of rearing Fixsenia w-album by Prunus trees. In Japan this species usually feeds on Ulmus trees.

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ゼフィルス飼育報告 / Rearing The Zephyrus Hairstreaks [旅行記/採集記 / Travels]

ゼフィルス飼育報告

 先日の採卵講習会に参加した若者たちから、持ち帰ったゼフィルス類の飼育状況の報告が届いたので以下、紹介したい。

【KU君からの報告】
 採卵会から早一か月、メスアカは2匹とも蛹になりました。一番早く孵化したカラスシジミは脱走して行方不明、捜索打ち切り状態です。F君のカラスシジミはちゃんと育っているらしいです。ケルクス食のものは1匹が死に、もう1匹が生き残っています。生き残っている方はある程度の大きさで、クヌギの花を与えているので多分今後も大丈夫です。採卵会でエサ用に持ち帰ったミズナラをしばらく与えていたのですが、萌芽前の芽はすぐに黒くなってダメになりやすいので、地元のクヌギの萌芽を待って孵化させた方がいいと思いました。それに比べて、メスアカの飼育は本当に楽でした(笑)  ほぼ飛び入り気味でしたが、採卵会に参加させていただいてどうも有り難う御座いました。
s-メスアカ蛹.jpg
▲KU君飼育のメスアカミドリシジミ蛹 / A pupa of Chrysozephyrus smaragdinus

【KN君からの報告】
 お久しぶりです、採卵会に参加させていただいたKNです。 なかなか上手くいかず、気付いたらメスアカ2頭を残して全滅していました…。この2頭は無事に羽化させたいものです。先日撮影した、順調に育っている個体の写真を添付しておきます。採卵は全く経験がなく、Papilio以外の蝶を飼育するのも初めてですが、採卵も飼育も楽しいですね。  来シーズンからは自力でも採卵に挑戦してみたいと思いました。
s-メスアカ幼虫.jpg
▲KN君飼育のメスアカミドリシジミ幼虫 / A larva of Chrysozephyrus smaragdinus

【FM君からの報告】
 幼虫飼育の件ですが 僕はメスアカ4頭、アイノ3頭、ウラジロ2頭、オナガ8頭、カラス1頭を持ち帰りまして、まずメスアカ4頭すべてすくすく育っております。エサの桜はソメイヨシノです。続いて、アイノも3頭元気に育っております エサは現在クヌギの新芽を与えていますが、Kさんにうかがったところ途中でミズナラに変えても問題ないということで近々変えようと思っております。
 次に、ウラジロですがこちらは昨日冷蔵庫から出して現在2頭とも卵の状態です…笑。というのもカシワの樹がなかなか見当たらず、困っていたところ、何と大学で発見したのでちょっと今から失敬してくる予定です。 オナガも同様に現在卵のままでして、こちらも大学でオニグルミを発見したので今日ちょっと新芽を失敬してくる予定です。
 最後に、カラスと同定された卵ですが現在無事にスクスクと育っております! エサはメスアカと同じソメイヨシノを与えております 最初は食いが悪く、このまま死んでしまうのでは…と心配しておりましたが大丈夫でした。しかしやはり種類の差なんでしょうか、メスアカに比べてか・な・り成長が遅いでして日々心配と緊張感が続いております。
 またいざという緊急事態に備えてオニグルミ、ミズナラ、カシワの苗を購入し、庭に無断で植えました(笑)。 あとは近所の雑木林の切り株の横から出てきたとりあえずクヌギとコナラの枝を切り落とし、現在巨大なバケツに水をはり突っ込んでスパゲッティを入れた時のような状態です(笑) こちらも根がはえたら無断で庭に植えます。
 と、簡単ではありますが報告第一発目とさせてください。



 以上、ことし大学生になったばかりの3人から先日のゼフィルス採卵会で得た卵の飼育状況の報告をいただいた。皆さん、楽しみながら飼育しているようで何よりである。やはりメスアカミドリシジミは一番幼虫が丈夫で、飼育がしやすいということがよく分かる。若者たちが今回の飼育をきっかけに、奥深い蝶の世界に足を踏み入れてもらえれば主催者側としてはこれに過ぎる喜びはない。
今後もこうした機会をなるべく設けて、多くの若者に蝶の魅力に触れてもらいたいと考えている。採集会や調査会などの案内の配信を希望される方は事務局までメールをお送りいただきたい。

Rearing The Zephyrus Hairstreaks

Several reports on the present situation of rearing the larvae of the Zephyrus Hairstreaks by young butterfly lovers have just arrived. All of them joined the field research conducted by our society last March.
They are enjoying rearing the larvae, sometimes facing difficulties how to keep them in good condition. Judging from their reports, Chrysozephyrus smaragdinus is the easiest species to rear because its larva is very tough and its hostplant (Prunus trees) is found everywhere in Japan.

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ゼフィルス採卵講習会開催 / A field research for searching eggs of Zephyrus Hairstreaks [旅行記/採集記 / Travels]

ゼフィルス採卵講習会

 ゼフィルスの冬期越冬卵採集法は日本で開発された世界に誇れる技術である。しかし日本蝶界の高齢化に伴い、今や高度な知識・技術を持った人材は減る一方、優れた技術を受け継ぐ若者はヒョウモンモドキ以上の絶滅危惧種と相成ってしまった。このままでは日本蝶界一子相伝の秘伝が絶えかねない。

 そこで本会有志は先月末の某日、群馬県にて講習会を実施した。参加したのはこの春から大学に進学するという10代(!)もしくは20歳になりたての新成人4人。対する教授陣は、「蝶採り名人」とも称され、日本蝶界最強の採集家の一人として知られる進化生物学研究所の山口主任研究員を筆頭に、日本のみならず韓国や台湾、沿海州でも数々のゼフィルスを落とし、ひとたび採卵に出れば余りに卵が採れ過ぎるのでいつも途中でマイマイカブリ採集に切り替えるという神奈川県の巨匠、ゼフィルス採卵経験こそ乏しいもの東京大学農学部にて森林学を専攻しているという将来の当会会長候補まで多彩な顔ぶれが揃った。

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▲ウラキンシジミ越冬卵を探す一行 / Searching for eggs from tree trunk

 当日は晴れたものの、標高1000メートルほどの峠は雪が残り、風はえらく冷たい。林に散らばってまもなく、神奈川の巨匠が得意科目のウラキンシジミをトネリコより発見。さすがである。若者たちは巨匠を真似して近くのトネリコを覗き始めるが、なかなか見つからない。

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▲巨匠の発見したウラキンシジミ卵 / An egg of Ussuriana stygiana

 巨匠は慣れぬ作業に呻吟する若者を尻目に、次は簡単に5卵塊を見つけるも、削り取った瞬間に風にあおられて無念の紛失。巨匠といえども風には勝てないものらしい。

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▲木登りステップ / Special tool for climbing tree

 巨匠は続いて何やら怪しげな道具を使い始める。木の幹に廻して階段状のステップを作るのだ。これは樹皮も傷めず、じつに優れた道具である。中年とは思えない軽快なステップで、あれよあれよという間にミズナラの樹冠までスルスルと登ってしまった。

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▲ミズナラに取りつく巨匠 / Climbing up Quercus crispula on which many Zephyrus species feed

 若者たちは呆然と下で見上げるのみ。心優しき巨匠は、手ごろな枝をいくつか地上に届けてくれた。数は少ないものの、アイノミドリシジミやダイセンシジミの越冬卵が見つかり、若者たちは喜んでいた。

 結局この日は数こそ少ないものの、アカシジミ、ウラキンシジミ、ダイセンシジミ、オナガシジミ、ミズイロオナガシジミ、メスアカミドリシジミ、アイノミドリシジミ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、ハヤシミドリシジミ、ウラジロミドリシジミの11種類のゼフィルス越冬卵を採集できたほか、珍しいことにサクラからカラスシジミの卵も2卵得られた。

 この講習会をきっかけに若者たちにはさらなる研鑽を積んでいただきたいものである。いずれ「ネッタイミドリシジミの卵を見つけました!」などという報告が来るのを楽しみにしている。

 なお今後こうしたフィールド講習会を不定期に開催する予定ですので、参加希望者は当会までご連絡下さい。

Searching for eggs of Zephyrus Hairstreaks in woods

Zephyrus Hairstreaks are a group of Lycaenid butterfly. This group comprises about 190 species occurring in Eurasia and North America. In Japan 25 species have been recorded from northern Hokkaido to southern Kyushu. All species are single brood and hibernate in the egg stage. Butterfly enthusiasts in Japan enjoy searching for their eggs in winter. Now as the life history of each species has been unveiled, it is not so difficult to find eggs if you choose good sites for collection.

On a sunny day of last March, we made an egg-hunting trip to Gunma Prefecture. This time 4 young butterfly lovers becoming university freshmen this April joined this research to learn how to find the eggs of Zephyrus Hairstreaks in the field.

Thanks to good instruction by noted veterans (of course, members of our society), we found eggs of 11 species in total as follows.

Japonica lutea, Ussuriana stygiana, Antigius attilia, Araragi enthea, Wagimo signatus, Favonius saphirinus, Favonius ultramarinus, Favonius orientalis, Neozephyrus japonicus, Chrysozephyrus brillantinus, Chrysozephyrus smaragdinus

---along with the above Zephyrus species, 2 eggs of Fixsenia w-album were found from Prunus jamasakura, an interesting finding.


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