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会誌No.77発行される!  [連絡 / General Information]

会誌No.77発行されました! 

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▲最新号No.77の表紙

 当会の会誌Butterfliesの最新号・No.77が発行されました! ラッキーナンバーが2つ並んだ景気の良い号です(笑)。今号も注目記事が目白押し! ぜひご一読下さい。まずは目次をUPします。クリックで拡大します。

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▲No.77目次

 本号のトップ記事は、コムラサキ亜科Apaturiinaeの研究では世界の最先端を走る、当会理事の増井暁夫氏による以下の論文です。

増井暁夫

ブル島とヤーペン島からのHelcyra chionippe新亜種記載を含むHelcyra属(タテハチョウ科コムラサキ亜科)の再検討

 シロタテハ属(Helcyra)は台湾にも2種(シロタテハ、アサクラコムラサキ)が産することから、古くから日本の研究者、愛好家になじみの深いタテハチョウの仲間であるが、珍稀種・珍稀亜種を多く含むことから世界的なレビジョンはされてこなかった。こうした中、増井氏は30年以上に及ぶ資料の蓄積と豊かなフィールド調査経験をもとに、謎の多い本属を概観する決定的な論文を出版した。それぞれ僅か1頭しか知られていないフィリピンのミヤザキシロタテハ(H. miyazakii)やシロタテハのボルネオ亜種(H. hemina borneeneis)なども鮮明なカラー図版で紹介されている。本論文を読めば本属のあらゆる情報が概観でき、英文も併記されているために海外の研究者や愛好家のアクセスも容易で、今後末永く引用・参照されるに違いない。

Helcyra revision.jpg
▲世界で一番詳しいシロタテハ図鑑とも言えよう

 続いて紹介するのは福島県から見つかったカシワアカシジミの新亜種記載である。

Takashi Hasegawa & Ken-Ichi Odagiri

A new subspecies of Japonica (Yuhbae) onoi Murayama, 1953 (Lepidoptera: Lycaenidae)from Fukushima, Japan

 カシワアカシジミ(Japonica onoi)は、和名の通り幼虫がカシワを食べるアカシジミで、ロシア沿海州、北海道、東北、それから離れて広島県と山口県に分布している。このうちロシア沿海州のものは亜種inomatai Fujioka, 1993、広島と山口のごく一部に生息するものは亜種mizobei Saigusa, 1993として分けられ、北海道と東北地方の名義タイプ亜種と併せて3亜種と整理されてきた。国内外でゼフィルスの研究を進めている長谷川大氏と小田切顕一氏は、福島県からカシワアカシジミの未記載の亜種を見出し、今回記載した。決め手となったのはおよそ60年前に福島県の甲子高原で採集された個体で、翅の表裏の地色や♂交尾器が他の3亜種の中間的な形質を示すことなどにより、独立した亜種と判断した。新亜種名のsakumaiは、採集者の故・佐久間博氏にちなむ。なお本論文によると、カシワアカシジミは人手の入った背丈の低いカシワに依存して生息してきたようで、林が放置されてカシワが大木化、老齢化した現状では生息の可能性が危ぶまれている。本論文やブログを読んだ皆さん、今一度、カシワ林で採集したアカシジミを精査していただければ、新たな発見があるかもしれない。

Japonica onoi.jpg
▲本種の他亜種などとも丁寧に比較されている

本記事では紹介できなかったが、このほかにも興味深い論文が目白押し! ぜひご一読ください。

 会誌は会員外でも1冊3,500円(送料別)で購入できますので、ご希望の方は下記のメールアドレスまでお申込み下さい。

【申し込み先】bsj@shobix.co.jp

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