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チョコレート揚羽蝶 [雑記 / Miscellaenous notes]

チョコレート揚羽蝶

21世紀に入って20年近くが過ぎようとしている。2月上旬、老いも若きも、学童から大人まで、かの国の女性たちは、こぞってにわかショコラティエと化す。同国で年間に消費されるチョコレートの大半は、聖バレンタイン・デーの直前に販売され、さらに多くは作り手の秘密の意図を込められて姿を変えるのだ。

産み出された作品の中には、ときに珍品も混じる。東西文明の食文化融合が産んだ「泡沫芸術」作品かもしれない。かつて写実主義的な珍品が見られたこともあった。

今年また、直近の伝統を継承する三人の乙女たちの合作が、傑作 Papilio scelerisque となって、ある男に届いた。それを口に入れる前に、男は写真撮影を禁じえなかった。

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Papilio scelerisque

A chocolate swallowtail butterfly

Since the 21st century started, nearly two decades have passed. Early February today, many women in Japan--young and old, from schoolchildren to adults--become seasonal chocolatiers. A large proportion of chocolate consumed annually in the country is sold just before St. Valentine's Day, and many pieces are changed into other forms with the chocolatiers' secret intentions.

Rarities may be found among them sometimes. Such may be “ephemeral art” pieces conceived in the amalgamation of food cultures of both western and eastern civilizations. Once we saw a realistic fine work.

This year, three girls inheriting the recent tradition collaborated in making another masterpiece, Papilio scelerisque, and presented it to a man. Before putting it into his mouth, he could not help but photograph it.
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学会推薦映画のお知らせ~「バタフライ~蝶たちの不思議な大移動~」 [雑記 / Miscellaenous notes]

【当学会推薦!】 蝶の映画のご紹介~「バタフライ~蝶たちの不思議な大移動~」

きょうは趣向を変えて、当学会の推薦する映画の紹介をしたい。当会の加藤義臣博士が監修・翻訳をした蝶の映画が公開されているので、お時間のある方はぜひご覧いただきたい。北米の渡り蝶として良く知られる、オオカバマダラ(Danaus plexippus)の移動の謎を明らかにした博士夫妻の半生を再現ドキュメンタリーとしたものである。長年にわたる調査の末に、メキシコの集団越冬地を突き止めるシーンはなかなか感動的である。

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映画名:「バタフライ~蝶たちの不思議な大移動~」

概要:渡り蝶として有名なオオカバマダラの移動先と集団越冬地を突き止めた、アークハート博士の半生を描いたものです。チョウのマーキング手法や集団越冬地でのロケなど科学的にも映像的にも大変興味深いものです。なお、本映画はもともと3D映画として制作されていますが、日本ではドーム型劇場のみで公開されます。

制作:SK Films
日本語版制作/配給:D&D ピクチャーズ(問い合わせ先)
日本語版ナレーション;はなさん
監修:加藤義臣
翻訳:加藤義臣・原朋子

現時点での上映館と日程:

鹿児島市立科学館 (H25年10月1日~12月28日) さいたま市宇宙劇場((H25年9月7日~12月1日、H26年2月1日~2月23日)

ちょうど今は西日本から南日本で日本でもアサギマダラの南下が見られる時期でもある。小さな蝶の体に秘められた偉大なエネルギーを体感しながら、『芸術の秋』に映画を楽しむのはいかがなものであろうか。

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【速報】2013年度昆虫DNA研究会第10回研究集会が開催 [雑記 / Miscellaenous notes]

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 先に当ブログで案内した通り、当会学術委員長の矢後勝也氏が世話人を務め、当会関係者も多く参加する以下の研究集会が先週25、26日の両日、東京・文京区の東京大学で開催された。当ブログ編集子は都合で25日しか参加できなかったが、たいへん充実した研究集会であったので、少し紹介しておきたい。

 「昆虫DNA研究会」はもともと大澤省三氏を中心とし、オサムシのミトコンドリアDNAによる系統解析を進めていた「BRHおさむしニュースレター」のグループに触発され、東京大学名誉教授の毛利秀雄先生をはじめとする研究グループが1998年から立ち上げた「蝶類DNA研究会」を母体とするものである。したがって昆虫全般を扱うようになった現在でも、蝶を素材とした研究は多く見られる。

 今回は全部で27の講演のうち、以下の9つが蝶に関するものであった。

「アクベスミヤマ、オオカブト、トリバネアゲハ…巨大昆虫生成機構をめぐる一仮説」
柏原精一(サイエンスライター、科学朝日元編集長)
「蝶類DNA研究会の頃」
毛利秀雄(東京大学・基礎生物学研究所名誉教授)
「ヒメジャノメ属とウラナミジャノメ属の琉球での異所的種分化」
遅沢壮一(東北大)
「サハリンのチョウの分子系統地理-日本の高山チョウのルーツと渡来ルートを求めて-」
宇佐美紀人・上田昇平・中谷貴壽・伊藤建夫・宇佐美真一(信州大)
「韓国産シルビアシジミのWolbachia感染と遺伝的多様性の調査」
坂本佳子・平井規央・矢後勝也(東京大)・石井 実(大阪府大)・李 哲敏(名古屋大学)
「DNA解析による日本のアゲハチョウ類の分布形成の推定」
八木孝司(大阪府立大)
「熱帯アジアのフタオチョウ属Charaxesにおける最近のDNA研究と形態分類 (Lepidoptera: Nymphalidae)」
勝山礼一朗(東京大)
「東洋区のインドシナ亜区-スンダ亜区間におけるチョウ類の種分化とその年代推定」
矢後勝也ほか(東京大)
「台湾産キチョウ2型の季節型反応・寄主選好性・分子系統」
加藤義臣(ICU)・成田聡子(筑波大)・矢田脩(九州大)・Yu-Feng Hsu(台湾師範大)

 どうだろうか。多くが当会の関係者で占められていることがお分かりになるかと思う。いずれもたいへん興味深い講演ばかりであったが、取り急ぎ速報として冒頭の記念講演のひとつ、柏原精一氏の講演を紹介したい。柏原氏は蝶界ではカラスアゲハの仲間の研究で良く知られているが、本業はサイエンスライター、かつて『科学朝日』の編集長も務められていて、生物全般に造詣が深い。柏原氏は近年、甲虫類にも関心を拡げて生物地理学を考察されているが、今回はその中で巨大な体躯を有する種がなぜ生まれたかについての仮説を発表された。きっかけとなったのはヨーロッパに広く生息するミヤマクワガタの一種で、この種のうちの2亜種でトルコやシリアで近接して棲息するものが異常に♂が巨大化することに着目された。柏原氏はこの2亜種は、同じニッチを巡ってあたかも「軍拡競争」のように巨大化する進化を遂げたのではないかと推察した。この仮説はニューギニア地区に生息するトリバネアゲハについても応用できると指摘し、ウマノスズクサを食べる有毒種であるトリバネアゲハは大型化、美麗化することで不利になる点はなく、むしろ餌資源の奪い合いなどが結果として速く成長する大きな幼虫の進化に資するところ大ではなかったかと述べられた。

 柏原氏の講演で特に印象に残ったのは、このような人間の主観的な認識に基づく「仮説」を楽しむ中で、DNA解析を性急に行うことは「カンニング」のようなものだと指摘した点である。とかく万人が納得する「科学的」な答えを急ぎそうになるが、昆虫の標本を並べて地図を拡げ、気ままに空想を愉しむこともまた重要なのではないかと感じ入った次第だった。

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▲熱気あふれる会場
 
 幸い昆虫DNA研究会はアマチュアの昆虫研究家との協働を重要視しているようでもあるし、当会の会員で面白そうなテーマを持っている方がおられれば、専門家とタッグを組むことで、新たな地平が拓けるかもしれない。そんな可能性を感じる良い研究会であった。

 今後、当会でも「DNA解析に生かす標本保存法」や「DNA研究を巡る課題と今後の展望」などについて学術委員会の協力を得てニュースレターやブログで随時紹介したい。

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技術の進歩 / The advance of technology [雑記 / Miscellaenous notes]

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▲インセクト・ジャーナル(1964年発行)

技術の進歩

 上の雑誌は今からおよそ半世紀前に発行された雑誌『インセクト・ジャーナル』である。発行元は「京浜昆虫同好会」、当時多くの虫屋が参加して隆盛を極めた伝説的な同好会である。この会についてのエピソードは多いが、きょう紹介したいのは裏面の広告である。

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▲裏表紙の広告

 裏表紙には、下記のトランシーバーの広告が掲載されているが、いかにも時代を感じさせて興味深い。何人かで採集地に行き、それぞれがトランシーバーを持ってリアルタイムで成果を報告し合う。当時の蝶屋には夢のような最新技術だったに違いない。
 それから半世紀。今では携帯電話を持って山の中に入るのが当たり前になってしまった。国内に限らず海外の採集地からだってリアルタイムで成果が伝えられる。画像だって携帯電話のメールで送れてしまう。
 50年後には、いったいどんな蝶との付き合い方をしているのだろうか。時代は変わり、技術が進歩しても、ギフチョウが舞う日本であって欲しいものだ。

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▲"Insect Journal" (1964)

The advance of technology

The above magazine is “Insect Journal” which was published in 1964 by a famous insect lovers’ association, “Keihin Konchu Doukoukai”. (“Keihin” means the Tokyo-Yokohama area) This association was quite prosperous then because many young insect lovers joined it. In this post, the author of this blog would like to introduce the advertisement on the back cover of the magazine.

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▲The advertisement on the back cover

This advertisement of the walkie-talkie vividly shows the atmosphere of the old days. At that time it must be the latest technology for butterfly lovers to go out in the field with walkie-talkies. By using them, they can simultaneously tell their situations and collecting results each other.

Fifty years have passed since then. Now everyone goes out in the field with a mobile phone. We can easily communicate each other not only in Japan but also from overseas. Even photos can be sent by a cellular phone without any difficulty.

The author does not have any idea how we will enjoy collecting or observing butterflies fifty years later. But he strongly hopes that Luehdorfia japonica, the Japanese endemic swallowtail shown in the advertisement, will be flying as it is even if the technology makes further progress and our way of life changes drastically in the future.

食べる!オウゴンテングアゲハ / Teinopalpus aureus made of chocolate [雑記 / Miscellaenous notes]

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▲「オウゴンテングアゲハ」のチョコレート
 Teinopalpus aureus made of chocolate

食べる!オウゴンテングアゲハ

男が蝶好きであることを聞きつけたある乙女たちが、「どんな蝶がお好きですか」と尋ねた。男は、「ミヤマカラスアゲハなんかいいね」と答えた。おととしの暮れのことである。

年が明けて、昨年の2月14日、「ミヤマカラスアゲハ」が届いた。男は十分に感嘆したが、乙女たちは青紫の発色がもうひとつ満足できなかったらしい。写真撮影不可のまま、男の胃袋におさまった。ずうずうしくも「来年はオウゴンテングアゲハをおねがい!」と男は頼んだ。

しかし、今年の2月14日、「オウゴンテングアゲハ」は届かなかった。一抹の落胆を男が忘れた頃、いちごケーキに止まるオウゴンテングアゲハの写真が職場にあった。男の留守中に乙女たちがもってきて、「腐らせるのはもったいない」と写真を残してくれた男性同僚と一緒に食べたのだと言う。

蝶屋的には「画蝶触角を欠く」のだが、なかなかの出来栄えである。職人気質の乙女たちは、未完成の技で触角を作ることを、潔しとしなかったという。それにしてもよくできている。黒と白はチョコレートと砂糖で作れるとして、緑と黄は何だろう?緑は抹茶、黄はカボチャなのだそうで、食べてしまって何の問題もない。

バレンタインデーに乙女が男性にチョコレートを贈る習慣が、日本ではいつの頃からか始まり、この文化の爛熟が、蝶屋にも垂涎の恩恵をもたらしたのだ。

Teinopalpus aureus made of chocolate!!

This is a marvelous piece of art, although lepidopterologically it lacks the finishing touches as the antennae are missing. The master chocolatier, unlike to be ignorant that a butterfly has a pair of antennae, may have removed the self-standing but ugly unproportionately fat antennae after all her efforts to make them as thin as possible.

The black and white areas are fabricated with chocolate and powdered sugar as you may easily guess. What are the green and yellow areas assimilated with? Used are powdered green tea and pumpkin. Thus, it is not only safe to eat but also gastronomically enjoyable, as tasted and proven by the photographer.

2011年度総会・大会が開催 / 2011 Annual Meeting [雑記 / Miscellaenous notes]

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▲200人の参加で席が足りなくなる懸念すらありました。
 Two hundred people joined this annual meeting, the seats were barely enough for all the participants.

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▲林賞講演記念講演をおこなうオーストラリアのDr. Michael Braby
Dr. Michael Braby (Australia) who is the winner of 2011 HAYASHI Award

【速報】2011年度総会・大会が開催
200人の参加で大盛況!

12月10日、東京大学・本郷キャンパスにて2011年度総会・大会が開催されました。当日は天候にも恵まれ、会員、非会員あわせておよそ200人の参加で盛大な会となりました。今年度の林賞を受賞されたオーストラリアのマイケル・ブレィビー博士は、御自身の著書に基づくオーストラリア蝶・蛾の描画史を講演してくれました。また、ブータンからの特別招待講演としてソナム・ワンディー氏は、今年我が蝶類学会とブータン政府の共同調査で確認されたブータンシボリアゲハ(http://www.asahi-net.or.jp/~ey4y-tknm/bsjn/bsjn.html )の生態と保護上の展望について講演しました。会場は熱気に包まれ、大きな拍手が鳴り止みませんでした。

【For Immediate Release】2011 Auunal Meeting
With 200 participants!

On December 10, our annual meeting was held in the University of Tokyo. We were blessed with sunny weather and about 200 participants gathered. Dr. Michael Braby (Australia) who is the winner of 2011 HAYASHI Award made an interesting presentation on the history of artworks on butterflies and moths in Australia. Another guest speaker, Mr. Sonam Wandgi (Bhutan) made a presentation on Ludlow Bhutan Glory (Bhutanitis ludlowi) which has just been confirmed by the joint survey with our society and Bhutan government. (see http://www.asahi-net.or.jp/~ey4y-tknm/bsjn/bsjn_e.html ) Participants were excited with many interesting presentations and giving untiring applause.
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