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進化中!? 同定困難なカザリシロチョウ [世界の蝶 / Butterflies World]

mysterious Delias.jpg
▲とても不思議なDelias

進化中!? 同定困難なカザリシロチョウ

会員の某氏より、たいへん興味深い画像を提供頂いたので紹介してみたい。これは言わずと知れたカザリシロチョウ、Deliasの標本である。この標本を正しく同定するためにはどういうキーで判別するのか? コレクター某氏(C)と専門家某氏(T)の問答で描いてみよう。


C: こんな写真が手に入ったのですが、これは何か判りますか?
T: これはシロチョウ科デリアス属ですね。斑紋からニューギニア島の高地に棲息する♂ですね。
C: 斑紋からすると何という名なのですか?
T: タルボットの第8群、Iltisグループの1種ですね。
C: でも斑紋を見ると種の特徴が混ざっている様に見えるのですが?
T: 後翅基部のデリアス紋が種を殆ど特定する上で今までは役立っています。
C: そうするとデリアス紋の中の斑紋は黄色の横棒なので、Delias mesoblemaでしょうか?
T: でも、デリアス紋が涙的形状をしているので、Delias arabuanaに近いかも知れません。
C: でも色は黄色ですが?
T: デリアスはよく赤が黄色に変化する個体が現れます。
C: 後翅外縁を取り巻く黒三角の紋はどっちかと言うとDelias iltisです。
T: 亜外縁の黒帯は太いのでDelias luctuosaです。前翅翅頂部の黒帯も中室まで掛かっています。
C: でも黒帯の中の黄色点紋はどちらかというとDelias flavistrigaawongkorに似ています。
T: それと後翅亜外縁の黒帯の中の黄色点班は色がやや薄いのでDelias mesoblemaに近いです。この個体はIltisグループの特徴を殆ど兼ね備えている個体だと思います。ヨーロッパの研究者の中には、ニューギニアのデリアスは日々進化している属ではないかと言われています。
C: そうすると種を分ける為にはゲニタリアかDNAの調査が必要ですか?
T: ゲニタリアの調査はたった1つの個体で確定するのは危険です。いくつかの個体を調査すべきです。またDNAは斑紋がこんなに近いのですから、上手く差が出るかどうか。また差が出ても大差でないと今まで挙げた種と区別出来ない場合があります。従って人間が勝手に決めた『種』という概念に対し、疑問を呈する学者が出て来ています。同様なKummeriグループを見てみればほぼ似通った種が示されてしますので、同様な疑問が湧いてきます。
C: 自然は人間が気づかない様な多くの多様性を持っているのですね。
T: だから私達はこれらの解明の為にもっと多くの資料標本が必要なのです。

いかがだろうか? ニューギニア島のDeliasは現在も進化している真っ最中と考える人もいて、その斑紋の多様さ、変異巾には驚かされる。


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