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新刊紹介「ガロヒルの蝶」 [文献 / Books]

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新刊紹介「ガロヒルの蝶」 

 「ガロヒル」と聞いて、即座に場所が分かった読者の方はおられるのだろうか。もしおられたら薄謝進呈したいほど、日本人には馴染みが無い。どのくらいマイナーなのか、試しに某大手検索サイトで調べてみたら「グローリーヒル」略して「グロヒル」というミュージシャンがヒットするほど、日本人には縁の無い場所であることが良く分かった。しかし、インド東北部でこの山塊を含む全体を「カシヒル」(Khasia Hills)と呼称していることを説明すれば、インド産蝶類に詳しい人はもとより多くの日本人愛好家はピンとくるはずである。現在のインド、メガラヤ州に属するこのカシヒルは英領インド時代より割に調査が進んだ場所で、♂が緑色に輝くゼフィルスの中で唯一、尾状突起を欠くカシミドリシジミ(Shirozuozephyrus khasia)など、ここで発見された種類も多い。何よりこの山岳地帯からは、あの魅力的な「ヒマラヤの帝王」、テングアゲハ(Teinopalpus imperialis)が多く得られ、インド、アッサム在住の標本商によって世界に標本が売られてきた歴史もある。

 「ガロヒル」は大まかに言ってカシヒルの山塊のうち西側の地域を指すようである。最近になって、インド人研究者、愛好家の間で蝶への関心が高まり、特にデジタルカメラの飛躍的な普及によって、今や多くのインド人たちが日々野外で蝶を撮影し、すぐにインターネットで公開している。こうした成果をコンパクトにまとめたのがこの本である。320種に及ぶガロヒルで撮影された蝶類が、カラーの生態写真と簡単な説明で紹介されている。小型種に至るまで同定は極めて正確で、インド人研究者の実力を感じさせる。インドの蝶類に関しては英領インド時代以降、長らく空白期もしくは低迷期が続いていたが、このところ急速に伸びてきている。広大な国土にはまだまだ謎が秘められているはずである。当会でも、インドの研究者と連携を取りながら、協力することができたらと考えているところである。

 さて今回、この本を当会で5冊ほど頒布用に入手したので希望者には2,000円(送料込み)で販売したい。先着順でお送りするので、関心のある方は下記までお申込みいただきたい。会員外でも可。

(申し込み先) 日本蝶類学会(テングアゲハ)事務局「ガロヒルの蝶」販売窓口           welcome_scriptsアットyahoo.co.jp 

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▲中身は生態写真で構成されている

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五十嵐邁コレクション目録アゲハチョウ科編が出版 [文献 / Books]

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 五十嵐邁コレクション目録アゲハチョウ科編が出版

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▲世界を駆け回った五十嵐邁氏の在りし日の雄姿が最初に掲載されている

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▲テングアゲハ属のコレクションを紹介したページ

 原田基弘・手代木求・小沢英之・矢後勝也  東京大学総合研究博物館所蔵 五十嵐邁昆虫コレクション目録 第Ⅰ部 鱗翅目・アゲハチョウ科 

 当会元名誉会長の故・五十嵐邁(1924-2008)氏のコレクションは東京大学総合研究博物館に寄贈されたが、その膨大なコレクションのうち、アゲハチョウ科の全標本がデータベース化され、このほど公開された。標本整理には五十嵐氏の一番弟子ともいえる原田基弘・当会理事をはじめとする当会会員が1年以上の時間をかけて地道に継続した。
 まずはその労をねぎらうとともに、こうして貴重なコレクションが後世に引き継がれることを大いに喜びたい。
 データベースはインターネット上でも公開されている。

 参考までに2年前に開かれた五十嵐邁氏コレクション展の様子を紹介したホームページ記事も紹介しておく。

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新刊紹介「南太平洋の蝶」 [文献 / Books]

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新刊紹介「南太平洋の蝶」 

 ニュージランド在住の当会会員、Patrick父子の努力の結晶とも言える新刊が刊行されたので紹介したい。「南太平洋の蝶」と題されたハードカバー、オールカラー239ページの図鑑である。Patrick父子は居住しているニュージランド国内はもとより、広く太平洋の島々を調査して回り、その成果の一部は当会会誌でも報告されている。(No.54「サモア諸島の蝶」、No.56「トンガ王国の蝶」)
 今回の本はそれらの総集編とも言える内容となっている。
 まだ昨日届いたばかりなので内容についての論評はできないが、当会会員の快挙を祝うとともに、速報としてお知らせしたい。
 カバーのシジミチョウはタヒチ諸島特産のタヒチアマミウラナミシジミ(Nacaduba tahitiensis)。本種は1988年に当会の元会員、長野県の原雅幸氏によって発見された比較的新しい種である。属も、棲息地も遥かに隔たった、孤島というだけの共通項ではあるものの、本邦のオガサワラシジミ(Celastrina ogasawaraensis)とどことなく似ているのは「他人の空似」なのだろうか。

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▲サモアネッタイモンキアゲハ(Papilio godeffroyi)のページ

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タイ図鑑 / The Butterflies of Thailand [文献 / Books]

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▲タイ図鑑表紙 Cover of "The Butterflies of Thailand"

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▲内容 / Content

タイの蝶図鑑

 仕事でタイに長期滞在され、退職後もタイにたびたび長期滞在して、同地の蝶を長らく研究されてきた当会会員の木村勇之助氏は、個人のものとしては世界有数のコレクションを保有しておられる。その標本の価値は何と言っても、ほとんどが同氏の採集したもので、データが極めて正確なことにある。経済発展著しいタイでは既に低地を中心に多くの森林が破壊され、姿を消した蝶も多い。木村氏のコレクションは、タイの蝶を研究する上で今後ますますその価値を高めていくに違いない。
 木村コレクションのデータをもとに、タイの蝶を俯瞰しようという取り組みが当会のメンバーで行われ、その最初の成果が上梓された。過去の記録を丁寧に当たったシノニミックリストは圧巻である。
 すべてのテキストに英語も併記されているので、海外の研究者にとっても有用この上ない資料となろう。
 購入を希望される方は、当会までメールいただければ仲介します。

"The Butterflies of Thailand" (Part1) is published

Our society member, Mr. Kimura Yunosuke has been studying the butterfly fauna of Thailand for more than 40 years. He had stayed there many years on business and after his retirement he continued to visit for the research of butterflies. As a result, he made a huge collection of the butterflies in Thailand. His collection is one of the best ones on butterflies of Thailand. The great point of his collection is that almost all specimens had been caught by himself and therefore the collecting data is precise. As the result of economic growth, many forests especially lowland rainforests had been lost in these several decades in Thailand. His collection will be more and more important from now on because many species had already become extinct.

Recently the project to introduce his collection for the better understanding of the butterflies in Thailand has started by some of our society members. The first outcome is published last year. In this book, you can see many rare and interesting species based on Kimura's collection with precise collecting data. In addition, the synonimic list which covers almost all the important former references is just amazing.
All the text is written in English, so it enables for overseas researchers to access easily.
Those who are interested in this book, please contact the following address;
welcome_scripts@yahoo.co.jp

大会案内シリーズその3:「チョウの羽ばたき」林賞受賞記念特別講演 [文献 / Books]

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2011年度大会・講演案内シリーズ
その3:「チョウの羽ばたき」~オーストラリア国立図書館所蔵の蝶蛾作品の歴史 (マイケル・ブレィビー)

今年の林賞はオーストラリアのマイケル・ブレィビー博士に贈られることになりました。受賞記念講演として、ブレィビー博士には、オーストラリアの蝶・蛾研究の歴史を、描画作品を通じて概観していただくことになっています。1770年のキャプテン・クックの探検航海から21世紀の今に至るまでの歴史を一気に学べる貴重なチャンスです。お見逃し無く!!

2011 Annual Meeting Presentation at a glance
No.3 A FLUTTER OF BUTTERFLIES: History of Australian butterfly and moth art work from the National Library of Australia (Dr. Michael Braby)

Our society's award, HAYASHI Award is given to those who made a great contribution to Lepidopterology. This year Dr. Michael Braby (Australia) wins the award. He makes a special presentation on the history of the art works on butterflies and moths in Australia. He summarizes the long history starting from the voyage by James Cook in 1770 to the present century. This is a great oppotunity to learn this long history at one time.

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