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2023総会・大会のプログラムを公開!

2023総会・大会のプログラムを公開!!

2023総会・大会は来たる12月9日(土)に開催されます! プログラムを公開しましたので、ぜひご確認下さい! ことしも盛りだくさんの内容になっております!!
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2023総会・大会のプログラムを公開 [連絡 / General Information]

2023年度総会・大会のご案内

今年度の総会・大会は講演が充実したため、午前からの開催となります。また今回はオンラインとのハイブリッド形式での開催はせずに対面開催のみですのでお間違いなく。

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▲去年の総会・大会

今年度は招待講演が2題あります。国内に生息する昆虫の中で特筆すべき歴史を持っているものを100種選定し、『日本百名虫』(文春新書)としてまとめた坂爪真吾氏(越佐昆虫同好会)に、百名虫の中でも蝶に絞って講演いただきます。坂爪氏の御著書は会場でも販売予定ですので、ぜひお買い求め下さい。もう1題は、日本初の化石のチョウの新種を発表された相場博明氏(慶應義塾幼稚舎)にご講演いただきます。約350万年前の地層から見つかった鮮新世のミスジチョウの仲間の化石、この貴重な発見について講演いただきます。

また今年度の学会賞は、磐瀬賞が当会理事兼運営委員長の斎藤基樹氏に贈られます。斎藤氏は2007年以来16年にわたって運営委員長として当会の事務を担当し、今年度で退任することになりました。斎藤氏は去年惜しくも亡くなられた昆虫界の巨星・西山保典氏の追悼集を編纂し、ことし刊行したので、その編纂にまつわるエピソードを受賞記念講演として講演いただきます。

このほかにも以下のプログラムの通り、多岐にわたる蝶の話題をお届けしますので是非ご参加下さい。大会終了後に懇親会も予定しております。


★ 2023 年度会員総会・大会
大会
【日時】 2023年12 月9 日(土) 午前の部 10:20~12:00 / 午後の部 14:00~17:15 
【場所】 東京大学理学部2 号館4 階大講堂(東京都文京区本郷)
【参加費】総会・大会:会員は無料,会員外(ただし学生を除く)は1,000円(要旨集代)
※なお学生は会員外でも無料です.是非お越し下さい(ただし懇親会は有料です!)

会員総会※基本的に会員対象です(入会希望者は参考に聴講いただいても構いません)
【日時】 2023年12 月9 日(土) 13:00~14:00       
【場所】 東京大学理学部2 号館4 階大講堂(東京都文京区本郷)

懇親会 お酒はほとんど飲み放題! ビュッフェ形式の豪華メニューをご用意!
【日時】 2023年12 月9 日(土) 18:00~20:00
【場所】 山上会館(東京大学本郷キャンパス内) 
【会費】 会員・非会員とも一般7,000円 学生3,000円 ※当日会場にて徴収します
※諸物価高騰の折、赤字にならぬよう値上げさせていただきました。ご容赦下さい。

【参加申し込み】
 以下の要領に従って必ず事前にお申し込み下さい。会員/非会員の別と、懇親会の出欠も必ずお知らせ下さい。

締め切りは12月1日(金)17時です!

1.メール… E-mail; bsj@shobix.co.jp 2023年度日本蝶類学会総会・大会 事務局

2.郵便の場合は…  〒113-0001 東京都文京区白山1-13-7 アクア白山ビル5F
勝美印刷(株)内 「日本蝶類学会」事務局 宛

3.電話/FAX申し込み… TEL 03-3812-5223(平日10時~17時)
FAX 03-3816-1561(何時でもOK)

4.Google Formsでの申し込み
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd6gxNOct7r5d83yPJpubzw44OOgs9gpkqDPSCt9oHRahgzgQ/viewform

QRコードからもどうぞ
QR.jpg


プログラム
(今後、変更の可能性もあります)

【大会・午前の部】
9:30- 開場・入場受付
10:20- 開会あいさつ(菱川法之会長)

10:30-10:45
楠本優作(順天堂大学)
「ニューカレドニア固有の一属一種、ナンヨウウラナミジャノメAustroypthima petersiの再発見とその生態」

10:45-11:00
◯Chris Müller (Australian Museum) and John Tennent (Natural History Museum London)
“Book Promotion: The Jewel Butterflies, A monograph of the genus Hypochrysops

11:00-11:15
◯牧田 習1・伊藤勇人1・勝山礼一朗1・二町一成2・徐 堉峰3・矢後勝也1(1. 東京大、2. 鹿昆、3. 台湾師範大)「フタオチョウにおける奄美個体群の起源推定、分類学的再検討および生息適地予測:形態・遺伝子解析・食草分布・気候変数を用いたアプローチ」

11:15-12:00 <学会賞受賞記念講演>
斎藤基樹(日本蝶類学会) 「西山保典追悼集・編纂余話」

<<昼休憩>> ※12:00-13:00 2023年度第3回理事会
昼食は各自ご検討下さい。会場近くにはコンビニ・外食店舗が多くありますので、そこでお求めください。キャンパス内には学生食堂(中央食堂)もありますが、会場からやや離れています。

【会員総会】
13:00-14:00 定時会員総会

【大会・午後の部】
14:00-14:15
◯網野 海(東京大学)・平川 翼(中部大学)・矢後勝也・松尾隆嗣(東京大学)
「深層学習を利用したチョウ類擬態形質の定量化 -捕食者の反応を模倣する試みについて-」

14:15-14:30
◯阪内 香・大瀧丈二(琉球大学)
「ヤマトシジミにおける福島原発事故後3年間の野外採集調査:形態異常の詳細分析」

14:30-14:45 
◯矢後勝也(東京大)・谷尾 崇(対馬博)・平井規央(大阪公大)・伊藤勇人(東京大)・佐々木公隆(九産大付属九産高)ほか
「ツシマウラボシシジミの持続可能な保全を目指して-自然保護助成基金活動を中心に-」

14:45-15:00 
◯佐藤 陽・安藤秀俊(北海道教育大学)
「ヒメチャマダラセセリ生息域外保全の確立に向けた研究」

15:00-15:15 写真撮影

15:15-15:30 休憩

15:30-16:15 <招待講演①>
坂爪真吾(越佐昆虫同好会) 「私の百名虫」のススメ

16:15-17:00 <招待講演②>
相場博明(慶應義塾幼稚舎) 「群馬県上部鮮新統本宿層群からの新種のタテハチョウ科化石」

17:00 閉会あいさつ(増井暁夫副会長)

18:00- 懇親会@山上会館

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タグ:鱗翅目 昆虫
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2022総会・大会をハイブリッド形式で開催 [連絡 / General Information]

コロナ禍で会場が閉鎖され、対面式の開催が2年連続で見送られてきましたが、ことしようやく再び開放されました。当会の矢後副会長の調整・ご尽力もあって、3年ぶりに東京大学理学部2号館大講堂での開催が可能となりました。
上映用スライド.jpg

12月10日、冬晴れの東京の会場には多くの会員、非会員の皆さんが集まり、大会は盛況となりました。オンラインでも一時50人ほどの参加者があり、合計すると速報値で120人ほどの参加者があったようです。

今回、学会賞の1つ、磐瀬賞が杠隆史氏(NRC)に贈呈されました。杠氏は長年にわたって国内最大規模の大阪昆虫同好会を率いる傍ら、1999年からは季刊ゆずりはの発行等を通じて、常に蝶と自然を楽しむスタンスで活動を続けてこられました。次世代を担う昆虫少年少女向けの教室の開催・運営などにも尽力され、趣味としての昆虫採集の社会的地位の向上と日本蝶界の活性化に大きく貢献されました。杠氏には特別講演をしていただき、氏の長い虫歴と交友の軌跡をコンパクトにまとめていただきました。趣味としての蝶がいかに人生を豊かなものにしてくれているのかがよく分かる講演で、聴いた人たちにも大きな印象を残しました。おめでとうございました。
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▲記念講演をする杠隆史氏(紹介している植物は「ユズリハ」)

このほか一般講演も興味深い演題が揃い、一部は今後、会誌等で発表されることになると思います。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
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2022総会・大会のお知らせ [連絡 / General Information]

2022年度総会・大会のご案内

 2022年度総会・大会はオンラインで開催するつもりで準備を進めて参りましたが、会場の東京大学理学部大講堂が国のコロナ対策の規制緩和に伴い、再度、開放されましたので、急遽協議の結果、対面+オンラインのハイブリッド方式で開催することにします。ただし、今後の感染状況によっては再び閉鎖されることもありますのでご留意下さい。ご来場の皆さまは、感染対策には充分配慮してマスクを着用し、入り口での手指消毒をしてからご入場下さい。間隔を空けてご着席をお願いします。

 今年度の学会賞は磐瀬賞に杠隆史氏(エヌ・アール・シー)が選出されました。ご存じの会員の皆さまも多いかと思いますが、杠氏は長らく大阪昆虫同好会の代表幹事を務められる傍ら、1999年からは季刊誌「ゆずりは」を創刊し、常に国内外の最新の蝶や昆虫に関する話題を発信してこられました。長年にわたって日本蝶界の活性化に尽力された功績は大きく、今回磐瀬賞を贈呈することになりました。杠氏には特別講演をして戴きます。このほか以下のプラグラムの通り、多岐にわたる蝶の話題をお届けしますので是非ご参加下さい。ご来場の皆さまには、大会終了後に懇親会も予定しております。

2022 年度総会・大会

【日時】 2022年12 月10 日(土) 
【場所】 東京大学理学部2 号館4 階大講堂(東京都文京区本郷)/オンラインZoom
【参加費】総会・大会:会員は無料,会員外(ただし学生を除く)は1,000円(要旨集代)
※なお学生は会員外でも無料です.是非ご参加下さい
【懇親会費】 会員・非会員とも一般5,000円,学生3,000円 
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▲会場地図(赤丸の「懐徳門」から入ると近いです)

13:00~13:30 会員総会 ※会員向け(開場は正午を予定)
14:00~17:20 大会
18:00~20:00 懇親会 ※対面参加の方のみ対象

【参加申し込み】
 今回は対面型とオンラインの双方で開催しますので、以下の要領に従ってお申し込み下さい。

①対面型で参加希望の皆さま
・懇親会の出欠も必ずお知らせ下さい。

②オンライン型で参加希望の皆さま
・「オンライン参加希望」と明記した上でメールアドレスを必ずお知らせ下さい。
・当日までにオンライン会議システムのZoomをダウンロードしてご自身で受信環境の整備を行って下さい。システムに関する質問や問い合わせには一切応じられません。
・後日メールにてZoom会議のURLをお送りしますので当日はそちらからご参加下さい。

締め切りは12月5日(月)17時です!
申し込み先… E-mail; bsj@shobix.co.jp 日本蝶類学会2022総会・大会事務局 宛

プログラム(今後、変更がある可能性もありますのでご了承下さい)

【総会】※会員向け
13:00-13:30 会務報告・学会賞授与式

【大会】
14:00-14:10 大会開会あいさつ(菱川法之会長)

14:10-15:10 杠 隆史(エヌ・アール・シー)
【磐瀬賞受賞記念特別講演】 「チョウの趣味と歩む人生」

[15:10-15:20 休憩]

15:20-15:35 楠本優作(順天堂大) 
「モンキアゲハ御蔵島・神津島亜種Papilio helenus toshikoaeに関する考察」

15:35-15:50 小田康弘(埼玉昆虫談話会)
「越冬する蝶の写真からの雌雄判別法」

15:50-16:05 勝山豊(京都大学蝶類研究会OB会6大陸クラブ)
「標本斑紋のパターン認識による東南アジア産蝶のミミクリー分析の基礎検討」

16:05-16:20 ○谷尾 崇(対馬博物館)・早田竜介(対馬博物館) 
「開館した対馬博物館と収蔵資料の中から特筆すべき蝶類標本について」

[16:20-16:30 休憩]

16:30-16:45 添 徹太郎(Taxonomic Science Inc.)
「フロリダの奇怪なシジミEumaeus atalaの生態について」

16:45-17:00 Yu Feng HSU (National Taiwan Normal Univ.)
"Dialogue between ancient artists and modern biologists - identification of butterflies and moths on the antique paintings in the collection of the National Palace Museum at Taipei"

17:00-17:15 菱川法之(北海道昆虫同好会)
「私が写した世界の麗蝶」

17:15-17:20 閉会挨拶(矢後勝也 副会長)

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会誌No.88発行される!  [連絡 / General Information]

会誌No.88発行されました! 

Butterflies No.88.jpeg
▲最新号No.88の表紙

 当会の会誌Butterfliesの最新号・No.88が発行されました! 末広がりの8が並んだ景気の良い号です(笑)。今号も注目記事が目白押し! ぜひご一読下さい。まずは目次をUPします。クリックで拡大します。

No.88 Index.jpeg
▲No.88目次

 本号のトップ記事は、ごく普通種ながら、その生態には謎も残されているイチモンジセセリについて真正面から挑んだ力作です。元当会会長、現・名誉会員の福田晴夫氏を中心とするチームが10年かけて生態の解明に取り組んだ記録です。

福田晴夫・中峯浩司・田中章・松比良邦彦
日本列島におけるイチモンジセセリの周年経過と移動

 北海道から南西諸島まで広く記録があり、秋には都会のど真ん中でもその姿を見ることの多いイチモンジセセリ(Parnara guttata)については周年経過や移動性などについてこれまでもさまざまな研究や報告が重ねられてきました。本論文では鹿児島昆虫同好会が2011年から2021年まで行った「イチモンジセセリ大作戦」で得られた知見と仮説がまとめられています。本種はイネ科植物を食草としていますが、日本列島で行われてきた稲作が好適な環境を創り出し、個体数を増した一部が分散、分布拡大に至ったというシナリオをフィールド調査で詳細に探った労作です。身近なチョウにも大いなる謎が秘められていることを再認識させられます。

Parnara paper.jpeg
▲イチモンジセセリの論文

 続いて紹介するのは東南アジアを中心に繁栄している可憐なシジミチョウの仲間ウラオビフタオシジミ(Genus Dacalana)に関する論文です。

Kotaro Saito & Yutaka Inayoshi
A revision of the vidura group of the genus Dacalana


東南アジアの蝶に精通した著者による再検討。2新種と6新亜種の記載が行われています。本属の種は森林性で樹上に多く見られ、資料を集めるのは容易ではありません。長年にわたる地道な努力でインドシナ、東南アジア島嶼部から多くの資料を集めたことで再検討が可能となり、今回のような大幅なアップデートに結び付いたと言えるでしょう。

Dacalana paper.jpeg 
▲稀種も多く図示された美しい図版

本記事では紹介できなかったが、このほかにも興味深い論文が目白押し! ぜひご一読ください。

 会誌は会員外でも1冊3,500円(送料別)で購入できますので、ご希望の方は下記のメールアドレスまでお申込み下さい。

【申し込み先】bsj@shobix.co.jp

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2021年度総会・大会のお知らせ [連絡 / General Information]

2021年度総会・大会のお知らせ

たいへん長らくお待たせしました。以下のプログラムで2021年度総会・大会をオンライン開催いたします。会員の皆さまにはハガキでの通知も届いているかと思いますが、こちらからもお申し込みできます。大会は一般の方の参加も受け付けておりますので、関心のある方は必ず事前申し込みをお済ませください。

【日時】 2022年2月11日(祝・金)
【場所】 Zoomを用いたオンライン形式
●総会(会員のみ) 11時30分~12時00分

●大会(一般参加可能)13時~16時
13時00分 開会あいさつ:菱川法之会長
13時10分~13時30分 
徳島アイノメス愛好会(西田善彦・斎藤基樹・三好康彦・西田文彦・十川和樹)
 「恒温器を用いた四国および九州産ゼフィルスの人工産卵」

13時30分~13時50分  
勝山豊(京都大学蝶類研究会OB会6大陸クラブ)
 「東南アジア蝶標本の画像認識による自動同定の基礎検討」

13時50分~14時10分  
楠本優作(順天堂大学)
 「西表島で発生したルリモンジャノメ」

14時10分~14時30分  休憩

14時30分~14時50分 
矢後勝也(東京大学総合研究博物館)ほか
 「オガサワラセセリの自然史と保全」

14時50分~15時10分 
Yu-Feng HSU(国立台湾師範大学)
“Findings on butterflies of Taiwan during the pandemic Covid-19 period”
  「コロナ禍の台湾のチョウ最新事情」


15時10分~15時50分 

<招待講演>
中江 信(横浜市)
 「『世界のアゲハチョウ図説』と珍アゲハのエピソード」


15時50分~16時 閉会あいさつ:増井暁夫副会長

【参加申し込み】 
インターネットのこちらのフォームから登録下さい。
https://forms.gle/L55gsuKjEyJNkwVbA

※以下のQRコードからでもお申し込みできます!
QR.jpg

【ご注意】
オンライン会議システムZoomを活用しますので、事前に参加を希望する皆さんは各自でZoomを利用できる環境を整備ください。

【申し込み締め切り】 2月9日(火)20:00 延長しました!!
申し込み後にZoomのURLをメール配信します

【問い合わせ】 E-mail; bsj@shobix.co.jp 

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【速報】来年2月にオンライン形式での大会を開催します! [連絡 / General Information]

コロナに翻弄された2021年も終わりに近づいています。本年も当会の活動はコロナ禍で大きく制約を受けました。こうした中、会誌ButterfliesはNo.87まで順調に号を重ねることができました。

恒例の年末の大会も会場が閉鎖されていることから2年連続で中止を余儀なくされておりますが、先般の理事会でオンライン形式での大会を開催することを決めました。詳細についてはまた本ブログやツイッターで告知していきますが、今回は当会のPRも兼ねて事前に登録した非会員も参加可能としたいと思っております。詳しくは追ってお知らせします。

文章だけだと寂しいので画像も1枚。先日発行したニュースレターの表紙にも掲載した画像ですが、ちょうど3年前の12月にカンボジアで撮影したものです。のどかな農村で子供たち(右下)が歓声を上げて走り回っていましたが、木陰にはひっそりとカバマダラが休んでいました。
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▲樹影で休むカバマダラと村の子どもたち(右下)
 カンボジア・プノンペン郊外にて 2018年12月

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再び血塗られた赤紋~ミャンマーのシボリアゲハ [世界の蝶 / Butterflies World]

再び血塗られた赤紋~ミャンマーのシボリアゲハ

わずか2年前のことが、今では遠い遠い昔のようにも思える。その理由は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で現代社会が根底から揺さぶられる危機的状況にあることもそうだが、それに加えてブログ編集子が大いに胸を痛めていることがある。東南アジアの西の端、ミャンマーの混乱である。

ことし2月に起きた軍のクーデターによる政権奪取から全土での抵抗運動、軍や警察による市民への弾圧で多くの死者が出る事態となっている。今やネットで逐一現地の情報が発信されているのだが、目を背けたくなるような惨状が連日ネット空間に飛び交っている。ミャンマーを何度も訪れた身としては、どうしても無関心ではおれないのだが、そんなある日、見慣れた地名がニュース記事に掲載された。西部チン州の山の上にある町だ。軍と市民との衝突が起き、数人が死傷したという簡素な記事だった。

その町こそ、ヒマラヤの至宝・シボリアゲハ(Bhutanitis lidderdalii)を観察するためにわずか2年前に訪れ、前線基地とした場所だったのだ。1,000 mを超える山の尾根をたどる街道沿いに開けた町で、ミャンマーの山岳地帯ではよく見られる光景だが、大多数のミャンマー人が奉じている仏教の仏塔パゴダに交じって、少数民族が信仰するバプティストの教会が混在するのどかな田舎町だ。町から車で30分も街道をゆけば、やがて雲霧林に到達する。ここからがシボリアゲハの領分だ。モンスーン明けの9月から発生が始まり、生き残りのメスは11月になっても飛んでいる。ちょうど2年前の9月、たまたまオスの発生期に当たった私たち一行は、かなりの数の新鮮なオスを観察することができた。20 mを優に超えるようなキャノピーを優雅に舞うことも多いが、しばしば急斜面に咲くガマズミの仲間の花に訪れ、その鮮やかな赤紋と奇怪な三つ尾は、息を呑むほど美しかった。随分前のことになってしまったが、かつてほぼ同所で撮影したシボリアゲハをYouTubeに公開したことがあり、珍稀さもあってか、かなりのアクセスをいただいた。いずれは高画質で再度撮影して公開したいと願ってきたが、この機会にその宿願を果たすことができた。

Habitat of B. lidderdalii.jpg
▲2,000 mを超す斜面に広がる深い森。ここを優雅にシボリアゲハは舞う(2019年 ミャンマー・チン州)

あれから2年。想像もしなかった夥しい血がミャンマーに流れた。シボリアゲハはブータンでの発見当初から、その姿を求めた探検家やその従者たちがトラに襲われたり、熱病に斃れたり、現地人に襲撃されたりして、翅を彩る赤紋は鮮血の証だと書かれたこともある曰くつきのアゲハチョウでもある。ちょうど発生期を迎えた現地では今頃、ミャンマーの地を染めた市民の血を想起させるような、あの鮮紅色の赤紋をきらめかせながら、優雅に舞っているのだろうか。彼の地に一刻も早く平和が戻ることを願わずにはおれない。平和への願いを込めて、動画を公開することにした。



Bhutan Glory in Myanmar

Bhutan Glory (Bhutanitis lidderdalii) must be one of the most striking swallowtails from all over the world. We can describe it as "the gift from the Himalayas". This magnificent swallowtail appears once in a year from late August to October. The habitat is always deep deciduous forest at above 2,000 m. This butterfly belongs to small genus Bhutanitis, named after a mystic small Himalayan country Bhutan where it was first discovered. The known distribution is Bhutan, NE India, N Myanmar, SW China and Thailand. But sadly the population in Thailand is said to have been extinct due to the destruction of its habitat.

We once uploaded the movie file filmed in 2005 in NW Myanmar. Fortunately we came back same area in 2015 and 2019. We were welcomed with newly emerged males of Bhutan Glory in September, 2019. Here we upload the spectacular film (HD).

Only after one year we visited there, political conflict occurred all over Myanmar. Many people have been brutally killed even in the small town we stayed. Now this butterfly's striking crimson markings of hindwings remind us of the blood of the victims during the conflict. We cannot help hoping that peace will be back soon to that fantastic country. (NW Myanmar, 2019)
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2019総会・大会まもなく開催! [連絡 / General Information]

2019年度総会・大会まもなく開催!

 事務局の多忙により告知が遅れて大変申し訳ありません。今年度の総会・大会が10日後に開催されます。2019年度の大会・総会は以下のプログラムで開催されます。今年度の学会賞は、広大な中国大陸の多様なタテハチョウ科を主に研究し、優れた論文や図鑑を次々に出版している若手研究者の郎嵩云博士(Dr. Song-Yun Lang)に林賞が贈られます。郎博士には、中国大陸の最新のクロヒカゲ属(Lethe)についての研究成果を受賞記念講演として行っていただきます。このほか以下の通り、多岐にわたる最新の蝶の話題をお届けしますので是非ご参加下さい。大会終了後には楽しい懇親会も予定しております。

★ 2019 年度会員総会・大会
会員総会(会員向け)
【日時】 2019年12 月14 日(土)13時~13時30分   ※開場は正午です。
【場所】 東京大学理学部2 号館4 階大講堂(東京都文京区本郷) ※昨年と同じ会場です。

大会(一般参加も可)
【日時】 2019年12月14日(土)14時~17時50分 ※開場は13時半です。
【場所】 東京大学理学部2 号館4 階大講堂(東京都文京区本郷) ※昨年と同じ会場です。

懇親会
【日時】 2019年12 月14 日(土)18時20分~20時20分 
【場所】 山上会館(東大本郷キャンパス内) ※昨年と別の会場です。
 ・豪華食事をご用意・お酒もほとんど飲み放題!!
【参加費】
大会:会員は無料,会員外(ただし学生を除く)は1,000円.(要旨集代)
※なお,学生は会員外でも無料です.是非お越し下さい(ただし懇親会は有料です!).
懇親会:会員・非会員とも一般6,000円,大学院生以下3,000円

【参加申し込み】  
締め切りは12月9日(月)17時です! 懇親会の出欠も必ずお知らせください!

申し込み先:E-mail; bsj@shobix.co.jp 日本蝶類学会事務局 

プログラム(今後、変更がある可能性もありますのでご了承下さい)

11:00-12:00 理事会

12:00 総会向け会員開場

【会員総会】
13:00-13:30 事業報告・役員人事・次年度予算案・会則改正などを審議

【大会】
13:30 一般向け開場
14:00-14:10 開会あいさつ(加藤義臣会長)

14:15-14:30 「マメ科植物に対するクロマダラソテツシジミの寄主選択」
 〇星野友希(東京農大・院・国際農業開発)・岩田大生(学振特別研究員/東京農大)・
  足達太郎(東京農大・国際農業開発)

14:30-14:45 「エバンスギンスジミツオシジミとコガネギンスジミツオシジミ」
 〇齋藤光太郎(東京)・稲好豊(タイ)

14:45-15:00 「東南アジアの高地における気温と蝶の出現の関係」
 勝山豊(京都大学蝶類研究会OB会6大陸クラブ)

15:00-15:15 「インドシナ・ヒマラヤ地域のゼフィルスの幼生期」
 〇長谷川大(神奈川)・小田切顕一(九州大)・久保田瑛子(神奈川)

15:15-15:30 休憩

15:30-15:45 「ミャンマー南チン州における蝶類の分布種とその生息環境の報告 続編」
 世良裕朝(千葉大)・楠本優作(順天堂大)・志田智義(千葉大)

15:45-16:00 「ガダルカナル島の蝶3題」
 竹井一(京都)

16:00-16:15 “Biology, systematic status, and conservation concern of Mycalesis kagina
 Yu-Feng HSU(National Taiwan Normal Univ.)

16:15-16:30 「東京大学総合研究博物館所蔵の注目すべきチョウ類標本 ―明治〜大正期のコレクションを中心に―」
 矢後勝也(東京大学総合研究博)

16:30-16:40 学会賞(林賞)授与式

16:40-17:40 【学会賞受賞記念特別講演】
  “An introduction of the genus Lethe Hübner from China (Nymphalidae: Satyrinae)”
Song-Yun Lang(Chongqing Museum of Natural History)

17:40-17:50 閉会あいさつ(矢後勝也副会長)

【懇親会】
18:20-20:20 懇親会 於:山上会館(下図参照)

【画像】東大構内図(山上会館)[10264].jpg
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会誌No.77発行される!  [連絡 / General Information]

会誌No.77発行されました! 

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▲最新号No.77の表紙

 当会の会誌Butterfliesの最新号・No.77が発行されました! ラッキーナンバーが2つ並んだ景気の良い号です(笑)。今号も注目記事が目白押し! ぜひご一読下さい。まずは目次をUPします。クリックで拡大します。

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▲No.77目次

 本号のトップ記事は、コムラサキ亜科Apaturiinaeの研究では世界の最先端を走る、当会理事の増井暁夫氏による以下の論文です。

増井暁夫

ブル島とヤーペン島からのHelcyra chionippe新亜種記載を含むHelcyra属(タテハチョウ科コムラサキ亜科)の再検討

 シロタテハ属(Helcyra)は台湾にも2種(シロタテハ、アサクラコムラサキ)が産することから、古くから日本の研究者、愛好家になじみの深いタテハチョウの仲間であるが、珍稀種・珍稀亜種を多く含むことから世界的なレビジョンはされてこなかった。こうした中、増井氏は30年以上に及ぶ資料の蓄積と豊かなフィールド調査経験をもとに、謎の多い本属を概観する決定的な論文を出版した。それぞれ僅か1頭しか知られていないフィリピンのミヤザキシロタテハ(H. miyazakii)やシロタテハのボルネオ亜種(H. hemina borneeneis)なども鮮明なカラー図版で紹介されている。本論文を読めば本属のあらゆる情報が概観でき、英文も併記されているために海外の研究者や愛好家のアクセスも容易で、今後末永く引用・参照されるに違いない。

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▲世界で一番詳しいシロタテハ図鑑とも言えよう

 続いて紹介するのは福島県から見つかったカシワアカシジミの新亜種記載である。

Takashi Hasegawa & Ken-Ichi Odagiri

A new subspecies of Japonica (Yuhbae) onoi Murayama, 1953 (Lepidoptera: Lycaenidae)from Fukushima, Japan

 カシワアカシジミ(Japonica onoi)は、和名の通り幼虫がカシワを食べるアカシジミで、ロシア沿海州、北海道、東北、それから離れて広島県と山口県に分布している。このうちロシア沿海州のものは亜種inomatai Fujioka, 1993、広島と山口のごく一部に生息するものは亜種mizobei Saigusa, 1993として分けられ、北海道と東北地方の名義タイプ亜種と併せて3亜種と整理されてきた。国内外でゼフィルスの研究を進めている長谷川大氏と小田切顕一氏は、福島県からカシワアカシジミの未記載の亜種を見出し、今回記載した。決め手となったのはおよそ60年前に福島県の甲子高原で採集された個体で、翅の表裏の地色や♂交尾器が他の3亜種の中間的な形質を示すことなどにより、独立した亜種と判断した。新亜種名のsakumaiは、採集者の故・佐久間博氏にちなむ。なお本論文によると、カシワアカシジミは人手の入った背丈の低いカシワに依存して生息してきたようで、林が放置されてカシワが大木化、老齢化した現状では生息の可能性が危ぶまれている。本論文やブログを読んだ皆さん、今一度、カシワ林で採集したアカシジミを精査していただければ、新たな発見があるかもしれない。

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▲本種の他亜種などとも丁寧に比較されている

本記事では紹介できなかったが、このほかにも興味深い論文が目白押し! ぜひご一読ください。

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台湾にギフチョウが居た!? [日本の蝶 / Butterflies JAPAN]

台湾にギフチョウが居た!?

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▲「台湾蝶類誌」第一巻 鳳蝶科(2018)

ごく最近、当会の副会長、理事を歴任されている台湾のYu Feng HSU教授が共著者となり、台湾産の蝶類を網羅する図鑑シリーズの刊行が始まった。まずアゲハチョウ科とシロチョウ科が刊行されたが、この中にちょっと目を引く標本が図示されているので紹介したい。

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日本虎鳳蝶 Luehdorfia japonica formosana Rothschild, 1918 (「台湾蝶類誌」第一巻 鳳蝶科(2018)より)

プレート20の最下段に図示されているのは、台湾、"TAIDONG Pref., Pushige "で得られたとされるギフチョウで、日本昆虫学の開祖として名高い昆虫学者、松村松年(1872-1960)のコレクションに由来し、現在は北海道大学のコレクションに所蔵されているものである。果たして台湾にギフチョウは居た(居る)のか? ロスチャイルドは1918年にギフチョウの台湾亜種formosanaを記載し、そのホロタイプ標本は大英自然史博物館に所蔵されているが、そのラベルには「1905年にE. Swinhoeから得た(標本)」というラベルが付されている。どういう経緯で「台湾産」とされるギフチョウがロスチャイルドの手に渡ったのか、それだけで推理小説のような面白さがあるのだが、いずれにせよ、かつて台湾にはギフチョウが産するとされていた時代があったことは確かである。

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▲山川黙 著 「原色新蝶類図」(1935)
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▲同著のギフチョウの記述

それは例えば戦前の書籍にも反映されている。山川黙(1886-1966)が一般向けに刊行して普及した蝶類図鑑「原色新蝶類図」(1935)でも、ギフチョウは「四国(!)、九州(!)、台湾」に産するという記述がみられる。このうち九州は「豊後」(Bungo)で得られたという記述があることに基づくものと思われるが、四国については出典が良く分からない。

こうした事実を丁寧に検証し、結論を出したのが当会理事の渡辺康之氏である。渡辺氏は国内外の文献と博物館所蔵標本を調べ上げ、著書「ギフチョウ」(1996、北海道大学出版会)にまとめた。この中で渡辺氏は台湾のギフチョウについては標本の産地に疑義があるために分布域には台湾を含めないと結論づけている。

冒頭で紹介した台湾の図鑑でもこの見解は支持されているので、少なくともギフチョウが台湾に産するということは無いと考えて良い。

それにしても、ロスチャイルドや松村松年といったビッグネームも関係する、「台湾のギフチョウ」騒動というのは、日本人の愛蝶家にとっては興味深い話題である。
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