世界の名蝶シリーズ No.3 マルバネカワセミシジミ / Banded Cycadian (Theorema sapho) [世界の蝶 / Butterflies World]
▲ ♂ 表面 (エクアドル産、大木隆コレクション)
▲ 同裏面 / Ditto, UN
世界の名蝶シリーズ その3 マルバネカワセミシジミ
(Theorema sapho)
まったく想像もつかず、これまでに見たこともない蝶に出会うのは楽しいものだ。ブログ編集子は日本の他には東南アジア、北米を主に専攻してきたため、特異な蝶の宝庫である中南米、アフリカのファウナには疎い。
そんな中、某日、日本人研究者としては恐らく最も中南米での調査経験が豊富な当会会員の大木隆氏のコレクションを拝見する機会を得た。大木氏のよく整理されたコレクションを眺めていて、思わず目に留まったのが本種。モンシロチョウくらいもある大型のシジミチョウ。表も裏もギラギラ光る青色光沢が実に豪奢な装いである。
ブログ編集子はマルバネカワセミシジミと名付けたが、もう少し良い名前があるかもしれない。本種はパナマからエクアドルにかけて知られる稀種のようで、♀は前翅に白い帯を持つ。この♀の外見から何とドクチョウに擬態しているのではないかという説もあるようだ。稀種なので生態に関する知見は少ないが、原生状態の森林に限って棲息し、高い樹上に留まっていることが多く、地上に降りることが少ないという。ところが、モルフォチョウのトラップとして使われる青い光沢紙には誘引されて地上近くにもやってくるそうな。それにしても、とんでもないシジミチョウである。
誰か元気な若者に本種の幼虫を探してもらいたいものである。(エクアドル産、大木隆・所蔵)
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