熱帯の島に舞うゼフィルス [世界の蝶 / Butterflies World]
熱帯の島に舞うゼフィルス
日本でもゼフィルスのシーズンに入ってきたが、きょうは海外のゼフィルスの話題を紹介したい。
フィリピンの西側に浮かぶ、細長い形をした島がパラワン島である。島の中央部には険しい山岳地帯があり、自然林が良く残された島として知られている。
▲パラワン島位置図(Wikipediaより)
この島の山岳地帯には、われわれ日本人愛好家にも馴染みの深いゼフィルスが1種類棲息している。パラワンミドリシジミ(Palawanozephyrus reginae)である。30年ほど前にドイツ人の研究者によって発見・記載された種で、一時はある程度の数が得られたものの、ここ10年ほどは現地での採集規制が厳しくなったことなどから、見る機会が少なくなっていた。
去年からことしにかけて、新たに得られた標本を見る機会があったので、貴重な採集地の風景写真とともに紹介したい。
パラワンミドリシジミが得られるのは、島の山岳地帯のピークや稜線などでの吹き上げに限られるようだ。この場所は南西部にあるMt.Gantungという1700mほどのピークで、雲霧林の中を急登する厳しい行程ののちに辿り着く。
▲ピークまでの険しい道のり(1993年撮影)
▲ピークの木の上に登って吹き上げで飛んでくるパラワンミドリシジミを待つ(1993年撮影)
ピークでは木の上に登って吹き上げで飛んでくる蝶を得るらしいが、遠くには海も見える絶景の場所のようである。天気に恵まれたら、いろいろなチョウが採れそうな場所で見ているだけでワクワクしてくる。悪天候なら真っ先に落雷で感電死しそうな場所でもあるが…。
▲パラワンミドリシジミ♂
▲パラワンミドリシジミ♀
パラワンミドリシジミが得られるのは12月から5月にかけてのようで、年1化のゼフィルスとしては俄には信じ難い長期間に及ぶ発生期である。熱帯では温帯のような季節の論理が通用しないので、食樹の芽吹きに合わせて柔軟に発生しているのかもしれないが、それにしても情報が乏しすぎる。マレーシア半島とジャワ、スマトラから知られるネッタイミドリシジミ(Austrozephyrus absolon)、ボルネオから知られるボルネオミドリシジミ(Borneozephyrus borneanus)それに本種の3種類は、いずれも熱帯の島に舞う大変特異なゼフィルスである。幼生期は未知で、生活史の解明が切に望まれる。ジャングルに分け入る有望な若者たちの活躍に期待を託したい。
最後になるが、貴重な現地の写真を御提供いただいた木曜社の西山保典氏に厚く御礼申し上げる。
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日本でもゼフィルスのシーズンに入ってきたが、きょうは海外のゼフィルスの話題を紹介したい。
フィリピンの西側に浮かぶ、細長い形をした島がパラワン島である。島の中央部には険しい山岳地帯があり、自然林が良く残された島として知られている。
▲パラワン島位置図(Wikipediaより)
この島の山岳地帯には、われわれ日本人愛好家にも馴染みの深いゼフィルスが1種類棲息している。パラワンミドリシジミ(Palawanozephyrus reginae)である。30年ほど前にドイツ人の研究者によって発見・記載された種で、一時はある程度の数が得られたものの、ここ10年ほどは現地での採集規制が厳しくなったことなどから、見る機会が少なくなっていた。
去年からことしにかけて、新たに得られた標本を見る機会があったので、貴重な採集地の風景写真とともに紹介したい。
パラワンミドリシジミが得られるのは、島の山岳地帯のピークや稜線などでの吹き上げに限られるようだ。この場所は南西部にあるMt.Gantungという1700mほどのピークで、雲霧林の中を急登する厳しい行程ののちに辿り着く。
▲ピークまでの険しい道のり(1993年撮影)
▲ピークの木の上に登って吹き上げで飛んでくるパラワンミドリシジミを待つ(1993年撮影)
ピークでは木の上に登って吹き上げで飛んでくる蝶を得るらしいが、遠くには海も見える絶景の場所のようである。天気に恵まれたら、いろいろなチョウが採れそうな場所で見ているだけでワクワクしてくる。悪天候なら真っ先に落雷で感電死しそうな場所でもあるが…。
▲パラワンミドリシジミ♂
▲パラワンミドリシジミ♀
パラワンミドリシジミが得られるのは12月から5月にかけてのようで、年1化のゼフィルスとしては俄には信じ難い長期間に及ぶ発生期である。熱帯では温帯のような季節の論理が通用しないので、食樹の芽吹きに合わせて柔軟に発生しているのかもしれないが、それにしても情報が乏しすぎる。マレーシア半島とジャワ、スマトラから知られるネッタイミドリシジミ(Austrozephyrus absolon)、ボルネオから知られるボルネオミドリシジミ(Borneozephyrus borneanus)それに本種の3種類は、いずれも熱帯の島に舞う大変特異なゼフィルスである。幼生期は未知で、生活史の解明が切に望まれる。ジャングルに分け入る有望な若者たちの活躍に期待を託したい。
最後になるが、貴重な現地の写真を御提供いただいた木曜社の西山保典氏に厚く御礼申し上げる。
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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
by 株の売買 (2014-01-25 13:43)