東京から消えたシジミたち(その2) / Extinct "Blues" in Tokyo (Part 2) [日本の蝶 / Butterflies JAPAN]
▲東京都産のシルビアシジミ♂(日野市、1955年9月)
東京から消えたシジミたち(その2)
前回に続き、2回目はシルビアシジミを紹介したい。シルビアシジミはかつて多摩川中流や荒川下流(江戸川区)の河川敷に生息していたとされる。(『東京都の蝶』、西多摩昆虫同好会、1991年) 1960年代にはいずれの産地からも絶滅してしまったらしい。図示したのは1950年代の多摩川中流域での採集品である。採集者によれば、日野駅から立川駅方面に向かって線路を歩き、多摩川にぶつかる手前まで盛り土をした線路の両側の土手にシルビアシジミが見られたということである。線路の上を採集しながら歩いたとは、いかにものんびりした当時の様子をしのばせる。現在では数分おきに中央線が行き交う中、線路の上など危なくて歩けたものではないし、見つかったらすぐに警察に通報されてしまうだろう。
採集地付近は現在でも地形は大きく変わっていないと思われるが、残念ながらシルビアシジミの姿はまったく無い。
シルビアシジミは全国的に衰亡が激しいが、一方で絶滅したと思われていた和歌山県でごく最近再発見されるなど(リンク先参照)明るい話題もあるようである。さすがに東京都で再発見するのはかなり厳しそうにも思えるが、もしかしたら、という希望は微かに残っている。
▲東京都産のシルビアシジミ♀(日野市、1954年9月)
にほんブログ村
コメント 0